◎ 木材の力

 最近、学校や駅などの公共建築物に木材を活用するケースが増えてきました。さらに技術の向上で、木造の高層階マンションや大型商業施設も登場し、「木材の力」を見せつけています。

◇東北

◎会津坂下町立坂下東幼稚園、同町立坂下中学校=福島県会津坂下町

 会津若松から車で30分ほどの会津坂下町。教育委員会が①木材利用の促進②地域に根ざした学校づくりの一環に、コンクリート校舎を木造に改築、2013年に完成。幼稚園では①ケガをしなくなった②音が響かない③インフルエンザで休む子がいなくなった…などの感想が聞かれました。

 

◎「アドリア北出丸カフェ」=福島県会津若松市

 鶴ケ城のお堀端に建つ、注目のCLT(直交集成板)工法による2階建ての1階を占めるモダンな雰囲気のレストラン。地元建設会社・会津土建が建設、運営している。中でも目を引くのが、床下から高さ6mの天井に届く樹齢1,000年のケヤキの銘板(幅2.2m)だ。照明を工夫し、周辺景観とも調和した、モダンな癒し空間となっている。社員の発案で、近くの路線バスの停留所も木造でデザインされている。

 

◎国際教養大学図書館=秋田県秋田市

 秋田市郊外のい秋田空港近くに2008年3月に完成。木造・鉄筋コンクリート造2階建て。蔵書15万冊の24時間オープン。天井高12m、半径22mの半円ホールはすべて、県産秋田スギが使われている。図書館ゆえに、木の温かさを感じさせる、落ち着きいた雰囲気を重視したという。利用者の女子学生(22)は「勉強のストレスが解消され、落ち着く。やる気もでるので、毎日5時間はここに来る」と木造図書館がお気に入りだ。

 

◎秋田駅西口バスターミナル=秋田県秋田市

 バスを運行する秋田中央交通が、秋田の玄関口・JR秋田県前のバスターミナルを、鉄骨造りから全面改装。県産秋田スギをふんだんに使った、4棟のバースを木造に変えた。細かな格子を連続させたデザインで、各バースに伝統の組子細工の壁面を設け、さらに、全体で計172個の照明を設置してライトアップし、秋田らしさを醸し出している。雪が積もるため耐久性が問われるが、支柱部分だけは鉄骨で、木材には特殊防腐加工で加圧し、耐久性と強度を確保した。


◇中部

◎川根温泉の貯湯用木製タンク=静岡県島田市川根町

 川根温泉の48.7度100tの源泉を貯める貯湯槽を、市が木槽で製作し話題を呼んだ。国内最大という木槽タンクは高さ3.8m、内径6.5mのスギ材。厚さ8cm。地元産木材の消費とPRに、大井川流域の樹齢80年以上のスギ計295本を使用。保温性に優れる木製で注目したのは、耐久性。従来のプラスチック素材では、高温の温泉水を入れるため、腐食しやすい。さらに補修も、傷んだ部分の板を外すだけなので、メンテナンスもしやすく長く使えるのが特徴だ。しかも、プラスチック素材だと内面のこびり付く温泉成分が、木槽だと付着しないため、薬剤を使う必要もないという。

 

◎掛川城とJR掛川駅=静岡県掛川市

 黒の板で作られた三角屋根が特徴のJR掛川駅は、東海道新幹線の停車駅としては、唯一の木造駅。もともと木造だったが、2008年にJR東海が鉄筋コンクリート造りに建て替える耐震化計画を発表。2010(平成22)年に木造駅舎の保存運動が始まり、市民の寄付金で目標額を大幅に上回る7,000万円近くを集め、2014(平成26)年4月に完成した。

 戦国乱世の歴史に登場し、山内一豊が入城するなど「東海の名城」とも言われる掛川城は、戦後初の木造天守閣として市民の手で再建され、掛川のシンボルになっている。

 天守閣の高さは16.2mで総床面面積305平方m。推定重量は423tといわれる。復元に使われた木材は、334立方m。全体の95%のあたる部分は下北半島の青森ヒバを使い、残りはヒノキ、スギ、ケヤキが使われている。

 天守閣は安政東海地震(1854年)で倒壊。市民の寄付活動で総工費約11億円のほとんどが集まり、1994(平成6)年に完成した。

 クギ1本使われておらず、天守閣最上階の格子窓には、堅いカシの木が使われている。再建にあたり、木造の厳しい耐震基準をクリアし、マグニチュード8.5までの地震に耐えられるという。

 留め金を使わない木造ながら、多くの犠牲者を出したスマトラ島沖地震クラスの大地震に耐える力を持っている。

 

◇九州

◎九州新幹線「つばめ」車両や駅舎など=JR九州

 国内有数の木材生産、九州。地域材を活用した駅舎や列車で知られるJR九州は、新幹線車両も木調を売り物にしている。内装や座席の背面などを木調仕上げに、シックに落ち着いた雰囲気だ。平成14年、「ゆふいんの森」のリニューアルに本格的に木を使って以降、木材を使用した観光列車を次々に登場させた。

 また、JR久大本線の豊後中村駅は、木造の旧駅舎を撤去して2010年、今度は木造茅葺きの新駅舎に作り替えた。茅葺き屋根の駅舎は、全国で会津鉄道の湯野上温泉駅(福島県下郷町)とここだけだという。九重夢大吊橋ができて利用客も増え、滞在型の観光拠点として、「豊後中村活性化交流センター」も併設。地元ボランティアが清掃作業するなど住民に親しまれている。観光客の一人は「伝統的な民家や商店の建物と調和している」と評価していた。